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私はマーケティングコンサルタントとして、100社以上の会社のサポートをさせていただきました。
その時に確実にお聞きすることが、
自社の強みは何だと思いますか?
という質問です。
ここで半数以上の会社から返ってくる言葉が、
「ウチのスタッフの人間力や提案力はかなり高い」
という言葉です。
先にお伝えしたいことは、その会社が言っていることは事実です。
そして、自社をそう思える状態は素敵なことだと本当に思います。
ですが、果たして自社の本当の強みは「人」なのでしょうか?
今回は、自社独自の強みの見つけ方について触れていきます。
USP(Unique Selling Proposition)
自社の商品やサービスが持つ独自の強みのことを、
USP(Unique Selling Proposition)
と言います。
マーケティングについて
USP策定は、マーケティング活動において必須の項目と言えます。
マーケティングは様々な言葉で定義されています。
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こちらの書籍にも名前が挙がっているピーター・ドラッカー氏。
ピーター・ドラッカー氏は「現代経営学」「マネジメント」の発明者と言われています。
そんなピーター・ドラッカー氏の言葉では、
マーケティングの目的は売り込みを不要にすること
と語られています。
売り込みを不要にする
売り込みを不要にするとはどういうことでしょう。
端的に言うと、
営業「自社の商品は◯◯なのでオススメです!ぜひ買ってください!」
消費者「この商品/サービスすごくいいな!役に立ちそうだし取り入れてみよう!」
以上のように、営業主体ではなく消費者主体で購入へつながる状態と言えます。
営業が売り込みをせずとも、消費者が情報を見つけて納得して購買へつながる
この状態へ持っていくためにも、USP策定が重要となります。
USPが必要な理由
USPがないと価格競争に陥ります。
例えば、全く同じ成分で同じ味の栄養ドリンクがあったとします。
そうなると、効果が同じで味も一緒であれば価格の安いほうを選ぶはずです。
このパターンを覆すのがブランディングです。
ブランディングができていれば、少々価格が高くてもブランド力でその商品を購入します。
薬局などでよく見かける
◯◯(有名商品)と同じ成分です
みたいな売り出しをしていても、結局は金額の高い有名商品のほうを手に取ってしまう。
これがブランディングできている商品が購入されるパターンです。
また、逆に言えば「◯◯(有名商品)と同じ成分です」で価格を抑えて打ち出しているこの商品。
これはUSPができていないため、価格勝負しかできない状態と言えます。
- 独自の強みがない(有名商品と同じ成分)
- ブランディングができていない(無名)
以上の条件を変えずに有名商品に勝つためには、やはり価格を下げるぐらいしか方法がありません。
それを打破するために、まずはUSP策定が必要となるわけです。
3C分析
USP策定のためには様々なフレームワークがあります。
USP策定と言うよりは、マーケティングには多くのフレームワークが存在します。
その中より、3C分析について紹介いたします。
3C分析とは、分析対象の3項目の頭文字を取ったものです。
- Customer(市場・顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
それでは、どのように分析を進めていくか見ていきましょう。
市場・顧客分析(Customer)
まずは市場・顧客から分析していきます。
市場・顧客からのニーズがなければ、購買が発生することはありません。
現在自社のサービスが成り立っているのは、ニーズのある市場・顧客が存在するからです。
- 営業支援:営業の受注率に課題がある顧客が存在する
- Web集客支援:新規集客に困っている顧客が存在する
- 転職支援:「※様々なニーズの」求職者が存在する
以上のように、改めて自社のニーズを把握するステップとも言えます。
ニーズの把握
例えば、転職支援であれば求職者のニーズは人それぞれです。
- 第二新卒の転職
- ハイクラスの転職
- 技術者の転職
- 医療従事者の転職
- IT/Web業界への転職
などなど、挙げていけばキリがありません。
例えば皆さんが、IT/Web業界に絞った転職活動を考えているとします。
そこで、以下のような転職支援サイトがあればどちらのほうが魅力的でしょうか?
IT/Web業界で完全に絞るのであれば、前者のほうが活用しやすいと言えます。
スタートアップの会社であれば、市場・顧客分析を起点としてサービスを組み立てることもできます。
一方で既にサービスが確立している企業であれば、大きな方向転換が難しいケースが多いのも事実です。
利用者の声を聴く
現在自社のサービスが成り立っているのは、ニーズのある市場・顧客が存在するからです。
これまでに購入いただけた方は、商品やサービスに納得のうえ購入していると言えます。
そのため、何が購買にあたっての引き金になったのかを探る作業です。
残念ながら、購買したものの不満を持ってしまった消費者もいます。
耳が痛くなる返事もあるかもしれませんが、市場・顧客分析においては大事な工程です。
より良いサービスを作るためだと思い、ヒアリングを徹底していきましょう。
ヒアリングのコツについてお伝えします。
- 質問意図の明確化
- 質問内容の統一
以上は基本としてブレのないようにしておきましょう。
質問意図の明確化
ですね。
そして、市場・顧客のニーズを把握する理由はUSP策定のためです。
そのため、ニーズをきちんと把握できる質問をしていきましょう。
クローズドクエスチョン
質問をする際は「はい」「いいえ」で答えられる質問は避けましょう。
この「はい」「いいえ」で答えられる質問を、クローズドクエスチョンと言います。
当社のサービスに満足いただけましたか?
当社のサービスをまた利用したいと思いますか?
クローズドクエスチョンの場合は「はい」か「いいえ」しか分かりません。
そのため、正確なニーズを把握するためには質問内容を工夫する必要があります。
オープンクエスチョン
「はい」「いいえ」以外で自由に回答できる質問を、オープンクエスチョンと言います。
ニーズを把握する際は、こちらのオープンクエスチョンを使うようにしましょう。
このような質問であれば、「はい」「いいえ」以外の自由な回答ができます。
オープンクエスチョンにおいては、もう一つポイントがあります。
質問の対象範囲を絞る
先ほど挙げた「当社の良かった点を教えてください」の場合、質問の対象範囲が広すぎます。
- 人柄
- 商品デザイン
- 商品性能
- 価格
- 立地
- 提案力
- アフターフォロー
一概に良い点と言っても、様々なパターンが考えられます。
そのためあまりに広すぎる質問をすると、
商品が良かったです
と言ったような、簡潔な回答が返ってくる可能性があります。
例えばですが、
以上のように「スタッフ」「提案」などで絞ってあげると、そのことについて回答が返ってきます。
何を聞きたいのかを明確にし、その回答をいただけるような質問を考えておきましょう。
質問内容の統一
質問内容は統一しておきましょう。
拠点やスタッフごとで全く異なる質問をするとします。
すると、どうしても集計内容にズレが生じてしまいます。
ここをしっかり意識したうえで、質問内容を統一しておきましょう。
質問攻めは相手が疲れてしまうので、ほどほどにしておきましょう
市場・顧客分析の手段は多岐に渡ります。
- PEST分析:景気変動や法改正など、社会的変化が自社にもたらす影響を分析する手法
- ファイブフォース分析:業界の変化が自社にもたらす影響を分析する手法
以上のようなものがあります。
そのほかのフレームワークについては、別機会で触れていきます。
競合分析(Competitor)
続いて同じ市場の競合について考えていきます。
ひとまずは、パッと思い付く競合からで大丈夫です。
よくバッティングすると思う企業を複数社リストアップしてみてください。
競合分析にあたっては、
この考え方がポイントとなってきます。
- 自社にできて他社にできないこと
- 他社ができて自社にできないこと
- 自社も他社も両方できること
以上の中に様々な要素がありますが、大枠はこの三点を押さえてください。
他社と比較する要素
他社と比較する要素の例を挙げてみます。
先ほどの顧客へのヒアリング内容と重複している部分もありますが、
- 人柄
- 商品デザイン
- 商品性能
- 価格
- 立地
- 提案力
- アフターフォロー
- 資金力
- 広告配信エリア
- ブランド力
以上のように、顧客にとって選ぶ基準(強み)になり得る部分を洗い出していきます。
それにより、
- 自社にできて他社にできないこと
- 他社ができて自社にできないこと
- 自社も他社も両方できること
以上をリストアップしていきます。
- 他社と被っている部分が多い
- 他社に劣っている部分が多い
以上のように感じる場合は、価格競争に陥る可能性が高いです。
価格競争に陥ると、顧客が優位な状態が出来上がりやすくなってしまいます。
これは顧客の判断基準が、金額にウェイトを置いている状態と言えます。
自社にしかできないサービスに顧客が満足していれば、このような状況にはならないはずです。
なぜなら、
金額の低い他社にはできないサービス
なのですから。
その要素を見つけていくためにも、細部まで綿密に炙り出していきましょう。
潜在的な競合の炙り出し方
続いて潜在的な競合を炙り出していきましょう。
自社では気付けていなかったが、実は競合している可能性がある企業のことを指します。
潜在的な競合を炙り出すためには、
細部まで市場・顧客分析(Customer)を行う
ことが重要となります。
以上のように先述していました。
競合分析においては、とにかくこの考え方がベースとなります。
このステップでは、ニーズについて深く掘り下げていく必要があります。
潜在的な競合を炙り出すにあたり、
以上を例に考えてみます。
- 同じ商圏
- 価格帯が近い
- デザイン性が近い
- 住宅性能が近い
- 注文住宅が可能
- リフォームが可能
パッと思い付くのはこのあたりです。
これだけでも競合する会社は複数社挙がってくるかと思います。
しかし実はこの分析では、
顧客のニーズを、自社が見える範囲で限定している状態
以上のように言えます。
なぜならこの分析では、
からです。
新居選びやリフォームの相談ができるのは、工務店だけではありません。
- 不動産会社
- マンションデベロッパー
- ホームセンター
- 家電量販店
以上のような選択肢も出てきます。
- 新居選び:土地が見つからず戸建てを諦める
- リフォーム:小売店で買い物した際に、サービスを知ってそのまま契約
例えばですが、以上のようなパターンも考えられます。
そうなると、こういった別業界も含めて自社の強みの分析をしていく必要が出てきます。
不変のものはあれど、市場は日々変化していきますので繰り返し分析を重ねていきましょう。
自社分析(Company)
市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)を把握できたら、いよいよ自社の分析です。
ここまでも自社というワードは出てきました。
と言うのも、もちろんですが最終的には自社のサービスで勝負していくことになるからです。
- 自社のニーズ:市場・競合(Customer)
- 競合に負けない要素:競合(Competitor)
以上をもとに、自社の強みについて考えてみましょう。
市場・顧客と競合から炙り出す
市場・競合が分かれば、自社の業界のニーズが分かります。
業界のニーズが分かれば、競合が分かります。
次のステップとして、
競合との差別化を図る
ことが必要です。
- 自社の強み
- 自社の弱み
まずはこの二つをしっかりと把握しましょう。
ポイントは、自社がどことも交わらない箇所を炙り出すことです。
皆さんの会社は、何もかもが他社のサービスと被っているのでしょうか?
きっとそんなことはないはずです。
3C分析を根気強く繰り返すことで、活路を見出すことができます。
SWOT分析
自社について知るためには、SWOT分析というフレームワークもおすすめです。
SWOT分析とは、分析対象の4項目の頭文字を取ったものです。
- Strengths(強み)
- Weaknesses(弱み)
- Opportunities(機会)
- Threats(脅威)
先ほどの強みと弱みに加え、
- 外的チャンス
- 外的リスク
以上についてもリストアップしていきます。
それにより、さらに自社分析の精度を高めることができます。
SWOT分析については、以下の記事も参考にされてみてください。
最後に
今回はUSP(自社独自の強み)を見つける方法についてお伝えしました。
明確なUSPが見つかれば、マーケティング活動を進めやすくなります。
良い商品/サービスであれば、
売り込みを不要にする
といった、マーケティングの目的の達成へ一気に近付いていくからです。
商品/サービスにUSPがあれば、売り込まなくとも顧客から選ばれるものになります。
営業活動が必要な会社でも、かなり営業活動が楽になることが予想されます。
ぜひこのフレームワークを活かして、より良い活動の一助にしていただければ嬉しく思います。