- SWOT分析のやり方が分からない
- SWOT分析を使う場面が分からない
- SWOT分析の活かし方を知りたい
Webマーケターのザキです
今回はSWOT(スウォット)分析について解説します。
自社を取り巻く外部環境と内部環境を、強み・弱み・機会・脅威に分けて分析する手法
SWOT分析は、組織自体や商品PRの方向性を定めるフレームワークの一種です。
組織自体や商品単体で見ても、取り組めることを挙げ出すとキリがありません。
時間も人員も限りがあります。
進むべき方向が不明確であれば、あれもこれもとなってしまい計画が前に進まなくなります。
個人でももちろんですが、組織であれば尚更です。
マーケティングのフレームワーク全般に言えますが、進むべき方向を定める地図と考えて良いでしょう。
SWOT分析は、経営やマーケティング戦略に欠かせないフレームワークと言えます
私はWebマーケターとして、クライアントのマーケティング支援をしています。
新規クライアントだけでなく、継続いただいているクライアントにも定期的にSWOT分析を行います。
では、SWOT分析はどんなタイミングで行えば良いのでしょうか。
また、分析後はどのように活かしたら良いのでしょうか。
実務で活用している私より解説いたします。
SWOT分析のやり方
ここからは、自社と他社という表現をしてまいります。
SWOT分析は、自社や他社を取り巻く環境から進むべき方向性を見出す分析方法です。
分析対象は4つあり、それらの頭文字を取ってSWOT分析と言います。
マーケティングが苦手な会社でよくある状況は、自社のことしか分析できていないということ。
つまり、競合他社について分析できていないということです。
ここで強調したいのは、把握ではなく分析ということです。
競合他社の◯◯に価格で負けることがある
競合した際には人柄や営業力で勝っている
こういったお声を多くの会社からいただきます。
恐らく事実ですが、こちらは分析ができているとは言えません。
SWOT分析含めたマーケティングの真髄は、エンドユーザーから指名が入ることです。
価格競争や営業勝負になっている場合、他社と差別化できていない可能性があります。
差別化を図り、経営・マーケティングを効率的に進めていくことがSWOT分析の目的です。
それでは、SWOT分析のやり方について解説してまいります。
例があったほうがわかりやすいため、
以上を例に考えてみます。
Strengths(強み)
まずは自社の強みを把握していきます。
外部環境分析の際にも触れますが、他社と差別化できている強みを出すことがポイントです。
人柄や営業力といった属人的部分ではなく、サービスの強みを考えていきましょう。
個人でもそうですが、自分たちの良さは意外と見えないものです。
社内アンケートも良いですが、出来れば第三者から客観的な意見をいただきましょう。
自社の強みの見つけ方の例ですが、
- 採用面接で応募者に質問する
- 得意先にアンケートを取る
- アンケートキャンペーンを実施(回答して◯◯が当たる)
以上などが挙げられます。
予算や効率を考え、事業規模に応じて手段は変えていきましょう。
最も参考となるのは、サービスを選んで満足いただいているお客様です。
直接強みをヒアリングするパターンで考えてみます。
弊社の強みは何だと思いますか?
気の利く相手だと意図を汲み取ってくれると思いますが、これだけでは十分なヒアリングができません。
サービスを知ったきっかけは何ですか?
決め手となった部分は何ですか?
サービス導入後にどんな変化を感じますか?
以上のように、サービスにスポットを当てて質問を展開していきましょう。
一つ一つ質問を区切り、それらをつなげて具体的な強みを炙り出していきます。
先述の通り、飲食業界に強いYouTube集客支援会社の強みについて考えてみます。
- 飲食業界の実績が豊富
- 飲食業向けの集客ノウハウがある
クライアント目線で考えてみます。
クライアントからすると、制作実績の有無は大きな判断基準です。
業界特化という点も安心材料となるでしょう。
転職市場においても経験者が優遇されるように、実績や経験は強みとして打ち出せる部分です。
業界特化であればSEO的にも強くなるため、ある程度売上が立ちます。
しかし、このある程度売上が立つことが落とし穴なのです。
業界特化で売上が立っていると、強みを過信して自社分析のみで終わってしまうことがよくあります。
自社分析のみで終わると、市場の変化に追いつけず売上が落ちていきます。
変化に対して、営業力のみで戦おうとする企業も見かけてきました。
そうするとスタッフが疲弊していき、貴重な人材を失うリスクも出てきます。
売上を上げるためだけでなく、経営を効率的に進めるためにもSWOT分析は必要です。
強みの分析だけで終わることなく、他の要因も分析していきましょう。
Weaknesses(弱み)
飲食業界に強いYouTube集客支援会社で考えてみます。
以上の条件で比較を行いながら、自社の弱みを探っていきます。
実務においては、競合は複数社リストアップしましょう
競合に出来て、自社には出来ないことを探っていきます。
B社と比較したうえでの弱みは、
- 業界実績に偏りがある
- 自社に動画編集者がいない
- 指導有りのため1件あたりの工数が大きい
- 金額が高い
以上が挙げられます。
強みと弱みは表裏一体です。
飲食業界の実績が豊富であれば、飲食業界へのアプローチはしやすいでしょう。
一方で、飲食業界以外へのアプローチに手こずりそうです。
現在は業績が好調でも、一気に業績が落ちてしまうリスクも考えられます。
今後の予測を立てることで、業績を上げられる可能性もあります。
それらについては、次の外部環境分析で触れていきます。
Opportunities(機会)
- 動画制作に関する補助金/助成金の増額
- YouTube集客で成功した飲食店がメディアに出演
- 動画需要の高まり
- 競合他社の大幅値上げ
以上のように、外部環境によるプラス要因がSWOT分析における機会です。
法改正や、円安・円高等の経済動向も外部要因へ当てはまります。
Threats(脅威)
機会とは逆で、外部環境の変化によるマイナス要因の分析です。
機会を攻めとするならば、脅威は守りを固めるために捉えておく必要があります。
- 感染症の拡がりによる飲食業界の売上低下
- 飲食業界特化かつ低額プランがある競合の参入
- 動画配信サービスの仕様変更
- 動画需要の低下
以上などが挙げられます。
変化に対して対策を打たなければ、売上が落ちる要因へつながります。
変化に対して対策を打てれば、マイナスを食い止めるどころかプラスへ好転する可能性もあります。
脅威は売上を左右します。
そのため、
脅威はSWOT分析における最重要項目と言えます
変化しないことはマイナスです。
10〜20年前はもちろんのこと、数年で形が変わっているサービスもあります。
これは市場変化とともに、ニーズも変化しているためです。
個人も法人も、不要なものにはお金を払いません。
あらゆるサービスが切磋琢磨しニーズに応えることで、また新たなニーズが生まれていきます。
そのため、外部環境の変化には常にアンテナを張っておきましょう。
クロスSWOT分析
SWOT分析のやり方を解説してきました。
分析をどのように活かせば良いのだろう
分析後にはこういった疑問も思い浮かぶことでしょう。
SWOT分析はあくまで仮説です。
仮説を終えた後は、検証をしていく必要があります。
マーケティングは仮説検証の繰り返しです
検証方法として、クロスSWOT分析という手法を使います。
クロスSWOT分析はSWOT分析の応用です。
内部環境と外部環境を組み合わせて、自社の進むべき方向を見つけていきます。
検証項目は以下四点です。
- 強み×機会
- 弱み×機会
- 強み×脅威
- 弱み×脅威
以上により、強みの磨き上げと弱みの対策をしていきます。
それでは解説へ入っていきます。
強み×機会
強み×機会から考えていきます。
- 飲食業界の実績が豊富
- 飲食業向けの集客ノウハウがある
- 動画制作に関する補助金/助成金の増額
- YouTube集客で成功した飲食店がメディアに出演
- 動画需要の高まり
- 競合他社の大幅値上げ
機会に対し、強みがどのように活かせるか考えていきます。
以下のように、外部環境の機会をベースに組み立てていきます。
- 補助金/助成金を絡めたセミナーを実施
- 成功した飲食店をフックに営業をかける
- キャンペーン実施により大幅なリスト獲得
- 金額やサービス内容の見直し
まずは機会に対し、強みを活かせそうなポイントをポジティブに考えれば大丈夫です。
改善ポイントに関しては、弱み×機会で考えていきます。
弱み×機会
弱み×機会は、強み×機会でポジティブに考えたことの修正として使います。
強みと弱みは表裏一体のため、機会と掛け合わせることで好転させることもできます。
- 業界実績に偏りがある
- 自社に動画編集者がいない
- 指導有りのため1件あたりの工数が大きい
- 金額が高い
- 動画制作に関する補助金/助成金の増額
- YouTube集客で成功した飲食店がメディアに出演
- 動画需要の高まり
- 競合他社の大幅値上げ
弱みと機会を掛け合わせると、
- 飲食業界に特化した補助金/助成金セミナーを実施
- 需要の高まりに合わせて、動画編集者等のスタッフ増員で質向上を図る
- 需要の高まりに合わせて、工数を削減したプランをつくる
- 競合他社の値上げにより、金額の高さの弱みが好転
以上が挙げられます。
機会と掛け合わせると、弱みも強みとしてして活かすことができます。
弱み×機会は、強み×機会の修正ともお伝えしました。
例えば、機会に乗じて一気に施策を押し進めるとします。
案件はたくさん取れたが、対応できるリソースがなくなるリスクも考えられます。
そのため、
以上のように、クロスSWOT分析も内部環境でまとめておくと良いでしょう。
強み×機会だけ考えると、どうしても前に進みたくなってしまいます。
突き進んでも問題がないだろうかと、弱み×機会についても考えておきましょう。
強み×脅威
続いて内部環境×脅威へ入っていきます。
強み×脅威から見ていきましょう。
- 飲食業界の実績が豊富
- 飲食業向けの集客ノウハウがある
- 感染症の拡がりによる飲食業界の売上低下
- 飲食業界特化かつ低額プランがある競合の参入
- 動画配信サービスの仕様変更
- 動画需要の低下
脅威に対しては、カバーするだけでなく好転させることもできます。
注意点としては、ポジティブに考えすぎないことです。
脅威はあくまでもマイナス要因ですので、その点を注意しておきましょう。
こちらも外部環境をもとに組み立てます。
- 売上低下を好転させる手法としてYouTube集客を提案
- 新規参入の低額プランにはノウハウと実績で対抗
- 仕様変更に対応した飲食業界向けコンテンツを配信
- 動画から飲食業界向けのコンサル領域へ比重をシフト
- 食品メーカーなどの近い業界へ幅を広げる
以上のように、脅威を強みでカバーしていきます。
外部環境は自分ではコントロールできないものです。
自社を脅かす危険性があれば、変化していくしか方法がありません。
外部環境が変化したからと言って、180度方向転換することは現実的ではありません。
強みをベースとして、徐々に形を変えていくことが好ましいと言えます。
弱み×脅威
マイナス×マイナスの、弱み×脅威を見ていきましょう。
- 業界実績に偏りがある
- 自社に動画編集者がいない
- 指導有りのため1件あたりの工数が大きい
- 金額が高い
- 感染症の拡がりによる飲食業界の売上低下
- 飲食業界特化かつ低額プランがある競合の参入
- 動画配信サービスの仕様変更
- 動画需要の低下
弱み×脅威は、自社にとって最も弱点となる部分です。
弱点は減らすに越したことないので、現実と向き合って改善していきましょう。
外部環境をもとに組み立てます。
- 飲食業界の売上低下により契約社数の減少
- 飲食業界の売上低下により新規獲得が難しくなる
- 新規参入の低額プランのニーズが高まる
- 編集のみ外注するニーズが高まる
以上などが考えられます。
売上低下に合わせるのであれば、低額プランに合わせる価格勝負も一手かもしれません。
しかし、これまでの実績とノウハウを考えるともったいない気もします。
そのため、強み×機会とのバランスを見ながら戦略を考えていきます。
先ほどの内部環境と同様に、
以上のようにまとめておくと良いでしょう。
業界特化であれば、脅威により大打撃を受けるリスクがあります。
動画を使った集客支援であれば、別業界への参入も可能なサービスです。
脅威が顕在化する前に、早めにリスクを分散させておくことも良いでしょう。
最後に
SWOT分析は、取り巻く環境を分析して進むべき方向を見出すものです。
そのためには、
- プラス要因
- マイナス要因
- 内部環境
- 外部環境
以上の分析をする必要があります。
外部環境が影響するため、定期的に繰り返す必要のある分析方法です。
外部環境に合わせて新たな方向性を決めることで、内部環境である強みや弱みも変化していくでしょう。
マーケティングは仮説検証の繰り返しです
SWOT分析を正しく活用することで、マーケティングの精度が高まっていきます。
業績が好調な時こそ、一度立ち止まってSWOT分析をしてみましょう。
分析をしてみた結果、好調である要因もより明確になります。
要因を明確化した後は、クロスSWOT分析も活用して施策を押し進めていきましょう。
今回の記事が、皆さんのお役に立てますと幸いです。